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第006話 最初の宝箱とD級スキル①

ผู้เขียน: 柳アトム
last update วันที่เผยแพร่: 2026-07-21 04:31:39

 僕は順調に車を走らせ、目的地へ向かう。

 その一方で、ステータスウィンドウを開き、システムの確認も行った。

「このステータスウィンドウは自分の状態やスキルを確認する以外にも機能がたくさんあるぞ……」

 その事に気づいた僕は一つ一つ、機能を確認していく。

「MCC(マップチャンネルチャット)は同一マップにいる「戦友」とチャットで会話ができるのか。でもそれには「魔力石」が必要なんだね。え? でもちょっとまって。この魔力石の消費数は本当に合っているの? とても多くの魔力石が必要なんだけど……」

 MCCマップチャンネルチャットでは会話をする為に、まずは相手を「フレンド登録」しないといけないようだったが、その登録に魔力石が三個必要とのことだった。

 僕は自分が持つ、一つだけの魔力石に目を落とし、少し惨めな気持ちになる。

「他には「取引システム」か。取引を安全かつ誠実に行う為に、合意した内容を確実に履行させるシステムだね。これは僕のように戦闘に不向きな者にはありがたいシステムだぞ」

 僕は取引と聞いて、相手と合意したとしても、直前になって相手が取引を反故にしたり、力づくで物資を奪おうとしてくることを心配していたが、このシステムがあれば安心だった。

「マップには目的地の方角と距離だけが表示されるのか。どうやって目的に到達するか、目的地までに何があるかは自分の目で見ないといけないということだね」

 僕はマップはあっても、全ての情報が親切に表示されているわけではないことを知って、これが「《天使セラフィム》」が人類に科した「《審判ジャッジ》」であることを改めて痛感する。

 僕はマップに表示された目的地の方向を示す矢印を頼りにトラックを走らせるが、少し走行すると、すぐ「ある物」を見つけた。

 それは「宝箱」だった。

 そしてよくよく辺りを注意深く見渡してみると、他にも幾つかの宝箱が、まばらではあるが点在していることに気が付いた。

「周囲に宝箱があるのか……。なるほど、そうか。これらの宝箱を開けて物資を獲得しながら目的地に向かうという事だね」

 僕はシステムを理解する。

 マップには他には「同級審判全体チャンネル」というワールドチャットがあって、そこには今回の「《審判ジャッジ》」に挑む戦友たちの「呟き」が次々と表示され、ログが流れていた。

「車が動かない! 私のチームメンバーは誰も車を修理できない!」

「車は魔力石で動くみたいだが、スポーツカーは燃費が悪かった! もうエネルギー切れた!」

「宝箱の周囲にモンスターがおるやん! 最初の一日は初心者保護期間で襲ってこないけど、宝箱を開けようとすると襲ってくるやん! 仲間が三人やられてしまったやん!」

「四人チームモードは仲間と協力できるけど、意見をまとめるのが大変だ。単独挑戦モードなら自分の気ままに行動できたんだろうな……」

 戦友たちが混乱し、異世界でのサバイバルに苦労している様子が、阿鼻叫喚となって表示されていた。

 そんな戦友をよそに、僕はトラックを進め、宝箱の近くまでやって来た。

「黒鉄宝箱か……」

 僕は顎に手を当てて思案を巡らせる。

 宝箱の等級は「黒鉄宝箱」「黄銅宝箱」「白銀宝箱」「黄金宝箱」「白金宝箱」「ダイヤ宝箱」とあり、僕の近くにある宝箱は、最も等級の低い「黒鉄宝箱」だった。

「今は宝箱に目もくれず、できるだけ目的地に近づく方が賢明だと思うけど……」

 僕は目的地の遠さ、そして日数の少なさから、先を急ぐべきだと考えていた。

 しかし───。

「魔力石のエネルギーブロックがあと一つか……」

 僕はトラックのメーターを見る。

 異世界では、車はガソリンではなく、魔力石のエネルギーで走るようだった。

「そこはさすが異世界だね。現実世界のガソリン車とは違うんだ」

 僕は手持ちの魔力石をセットしてみる。

 するとエネルギーブロックは五個増加した。

「ここまでの走行距離とエネルギーブロックの消費量を見てみると、このトラックは燃費は良さそうだけど、目的地に辿り着くには魔力石が不足しているみたいだ……」

 その事に気づいた僕は改めて黒鉄宝箱を確認する。

 黒鉄宝箱は道から二十メートルほど離れた草原の中にあった。

 僕はここで、最初の《天使セラフィム》の《審判ジャッジ》で生き残り、異世界から生還した両親の言葉を思い出す。

『いいか、傑まさる。異世界では無暗に道から離れるな。道から離れれば離れる程、強いモンスターが現れ、襲ってくるんだ』

『それに空気も悪い。奥深くまで進むと息ができなくなってしまうから注意するんだ』

 幸い、黒鉄宝箱は道からそんなに離れておらず、空気は大丈夫そうだったが、それでもやはり問題があった。

 宝箱の周囲にモンスターがいたのだ。

「あれはゴブリン。異世界でもっともポピュラーなモンスターだね」

 僕は遠目にゴブリンを観察する。

「ゲームなら簡単に倒せる雑魚モンスターだけど、戦闘向きじゃない僕が正面から戦うのは得策じゃないな……」

 ここで、僕はさらに父と母の言葉を思い出す。

『宝箱の周囲には必ずモンスターがいる。そう易々と宝箱は獲得できない』

『だが、傑。安心するんだ。宝箱を守るモンスターは必ずしも倒さなければならない相手ではない』

『モンスターを上手く騙し、宝箱だけを奪い取ることも重要だ』

『特に上級の宝箱になればなるほど、守護するモンスターも強くなる。戦っても、到底勝てる相手ではないモンスターばかりだ』

『そういう相手をいかに騙し、宝箱を奪うかも異世界で生き残る為に重要だ』

「そうだよね。モンスターを倒すことが目的じゃない。宝箱を獲得することが目的なんだ」

 僕はその事に気づき、父と母の教えに感謝する。

 そして僕は「草原」という周囲の地形を利用して「罠」を作ることにした。

 僕の作る「罠」はとてもシンプルな「罠」だった。

 しかし、それでも数を用意するのには時間を要し、僕は草原にしゃがみこむと、せっせと「罠」の作成に勤しむ。

 そして「罠」の仕込みと同時に、手ごろな石も幾つか拾い、準備を整えた。

「上手くいくといいな……」

 僕には少なからず不安もあったが、やると決めた以上、後戻りするつもりはなかった。

 胸一杯に空気を吸い込むと、僕は決意を固め、ゴブリンに向かって走り出す。

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