เข้าสู่ระบบ僕は順調に車を走らせ、目的地へ向かう。
その一方で、ステータスウィンドウを開き、システムの確認も行った。「このステータスウィンドウは自分の状態やスキルを確認する以外にも機能がたくさんあるぞ……」
その事に気づいた僕は一つ一つ、機能を確認していく。
「MCC(マップチャンネルチャット)は同一マップにいる「戦友」とチャットで会話ができるのか。でもそれには「魔力石」が必要なんだね。え? でもちょっとまって。この魔力石の消費数は本当に合っているの? とても多くの魔力石が必要なんだけど……」
「他には「取引システム」か。取引を安全かつ誠実に行う為に、合意した内容を確実に履行させるシステムだね。これは僕のように戦闘に不向きな者にはありがたいシステムだぞ」
僕は取引と聞いて、相手と合意したとしても、直前になって相手が取引を反故にしたり、力づくで物資を奪おうとしてくることを心配していたが、このシステムがあれば安心だった。
「マップには目的地の方角と距離だけが表示されるのか。どうやって目的に到達するか、目的地までに何があるかは自分の目で見ないといけないということだね」
僕はマップはあっても、全ての情報が親切に表示されているわけではないことを知って、これが「《
僕はマップに表示された目的地の方向を示す矢印を頼りにトラックを走らせるが、少し走行すると、すぐ「ある物」を見つけた。
それは「宝箱」だった。
そしてよくよく辺りを注意深く見渡してみると、他にも幾つかの宝箱が、まばらではあるが点在していることに気が付いた。
「周囲に宝箱があるのか……。なるほど、そうか。これらの宝箱を開けて物資を獲得しながら目的地に向かうという事だね」
僕はシステムを理解する。
マップには他には「同級審判全体チャンネル」というワールドチャットがあって、そこには今回の「《
「車が動かない! 私のチームメンバーは誰も車を修理できない!」
「車は魔力石で動くみたいだが、スポーツカーは燃費が悪かった! もうエネルギー切れた!」 「宝箱の周囲にモンスターがおるやん! 最初の一日は初心者保護期間で襲ってこないけど、宝箱を開けようとすると襲ってくるやん! 仲間が三人やられてしまったやん!」「四人チームモードは仲間と協力できるけど、意見をまとめるのが大変だ。単独挑戦モードなら自分の気ままに行動できたんだろうな……」
戦友たちが混乱し、異世界でのサバイバルに苦労している様子が、阿鼻叫喚となって表示されていた。
そんな戦友をよそに、僕はトラックを進め、宝箱の近くまでやって来た。「黒鉄宝箱か……」
僕は顎に手を当てて思案を巡らせる。
宝箱の等級は「黒鉄宝箱」「黄銅宝箱」「白銀宝箱」「黄金宝箱」「白金宝箱」「ダイヤ宝箱」とあり、僕の近くにある宝箱は、最も等級の低い「黒鉄宝箱」だった。「今は宝箱に目もくれず、できるだけ目的地に近づく方が賢明だと思うけど……」
僕は目的地の遠さ、そして日数の少なさから、先を急ぐべきだと考えていた。
しかし───。
「魔力石のエネルギーブロックがあと一つか……」
僕はトラックのメーターを見る。
異世界では、車はガソリンではなく、魔力石のエネルギーで走るようだった。「そこはさすが異世界だね。現実世界のガソリン車とは違うんだ」
僕は手持ちの魔力石をセットしてみる。
するとエネルギーブロックは五個増加した。「ここまでの走行距離とエネルギーブロックの消費量を見てみると、このトラックは燃費は良さそうだけど、目的地に辿り着くには魔力石が不足しているみたいだ……」
その事に気づいた僕は改めて黒鉄宝箱を確認する。
黒鉄宝箱は道から二十メートルほど離れた草原の中にあった。 僕はここで、最初の《
『いいか、
幸い、黒鉄宝箱は道からそんなに離れておらず、空気は大丈夫そうだったが、それでもやはり問題があった。
宝箱の周囲にモンスターがいたのだ。「あれはゴブリン。異世界でもっともポピュラーなモンスターだね」
僕は遠目にゴブリンを観察する。
「ゲームなら簡単に倒せる雑魚モンスターだけど、戦闘向きじゃない僕が正面から戦うのは得策じゃないな……」
ここで、僕はさらに父と母の言葉を思い出す。
『宝箱の周囲には必ずモンスターがいる。そう易々と宝箱は獲得できない』
『だが、傑。安心するんだ。宝箱を守るモンスターは必ずしも倒さなければならない相手ではない』 『モンスターを上手く騙し、宝箱だけを奪い取ることも重要だ』 『特に上級の宝箱になればなるほど、守護するモンスターも強くなる。戦っても、到底勝てる相手ではないモンスターばかりだ』 『そういう相手をいかに騙し、宝箱を奪うかも異世界で生き残る為に重要だ』「そうだよね。モンスターを倒すことが目的じゃない。宝箱を獲得することが目的なんだ」
僕はその事に気づき、父と母の教えに感謝する。
そして僕は「草原」という周囲の地形を利用して「罠」を作ることにした。
僕の作る「罠」はとてもシンプルな「罠」だった。 しかし、それでも数を用意するのには時間を要し、僕は草原にしゃがみこむと、せっせと「罠」の作成に勤しむ。 そして「罠」の仕込みと同時に、手ごろな石も幾つか拾い、準備を整えた。「上手くいくといいな……」
僕には少なからず不安もあったが、やると決めた以上、後戻りするつもりはなかった。
胸一杯に空気を吸い込むと、僕は決意を固め、ゴブリンに向かって走り出す。次々とこの場から車が逃げ出し、その数をみるみる減らしていった。 どうやら僕と軍毅、それに詩華は、他の「戦友」に比べ、車の発見が遅かったようだ。「急げッ! あの車だッ!」 それでも軍毅は残った車に乗り込もうと躍起になるが、その度に、目の前で別の戦友に車を奪われ、なかなか車を獲得する事ができずにいた。 そうしている間にも車は、みるみる戦友に奪われ、数を減らしていく。「くそッ……! このままじゃ……ッ!」 軍機が焦る。「どこかに……、どこかに車は残っていないの……」 詩華は急速に数を減らす車を成す術もなく見送るしかできずにいた。 せっかく多くの車を見つけ、脱出の糸口を見つけたと思った直後だっただけに、落胆も大きいようだった。 しかし、そんな二人に比べて、僕は余裕があった。 何故なら───。 僕は「ある場所」をライトで照らす。 そこは、雑草が生い茂り、茂みになっている場所だった。 そしてそこには僕の「目当ての物」があった。「やっぱり今回の《天使》の《審判》でも、ここにあってくれたんだね」 茂みの中にあったもの。 それは一見すると車とは思えないガラクタの山のようだったが、よく見ると古びた小型のトラックだった。「前回の《天使》の《審判》で僕が乗り込んだトラック。嬉しいな。まるで長い付き合いの相棒に再会したようだよ」 僕は、僕の相棒だったトラックが、今回も前回同様、茂みの中にあってくれて喜んだ。「軍毅、それに詩華。あそこにまだトラックがあるよ。あのトラックに乗り込もう」 僕は軍毅と詩華を誘う。 前回の《天使》の《審判》で、僕は軍毅に四人パーティーモードに誘われたが、その申し出を断り、単独挑戦モードを選んだ。 しかし、今回はそうするつもりはなかった。 その理由は、まず、《天使》の《審判》ではゴール地点にドラゴンがいて、最低でも十六人の戦友がいないと、そのドラゴンを倒せず、最初のゴール地点に到達することができない。その為、仲間が多い方が良いという事を僕が学んでいたからというのが一点目の理由。 もう一点の理由は、僕は別世界の事ではあるが、詩華に異世界で
僕は頭で考えるより先に、身体が動く。 そしてマグライトと「合体」させた銃を構えると、至近距離からゴブリンの目に向けて引き金を引いた。「ギャッウッギャウギャーッ!」 ゴブリンの目玉が弾け飛び、弾丸は眼窩を通って頭蓋骨をすり抜け、脳に達したようだった。 糸が切れた操り人形の様に力を失うと、ゴブリンはバッタリと倒れ、動かなくなった。 僕と詩華と軍毅の三人は、こうして辛うじて一匹のゴブリンを倒す事に成功した。 しかし、周囲を見渡すと、そんなゴブリンがまだ何百と飛び跳ねていた。「に、逃げましょう……ッ!」 詩華が悲鳴をあげるかの如く、提案をする。「逃げるといったって、どこに逃げるんだよッ!」 軍毅は周囲の至る所にゴブリンがいる状況に、逃げ道を見いだせなかった。「見てッ! あそこに車があるッ! あの車を使って逃げましょうッ!」 逃げ道を探して周囲を照らしていた詩華のマグライトが、一台の車を照らし出した。「こんな所(=異世界)に車があるなんて……!」「マジかよ……! なんで異世界に車が? しかし、これはラッキーだぜ!」 詩華と軍毅は異世界に車があることに驚いていた。「そうか。二人は僕と違って、まだ異世界で《天使》の《審判》を経験していないから、最初の試練が、車に乗って、七日以内に二千四百km先の補給地点へ辿り着く事だと知らないんだ」 僕は異世界に車がある事に慣れっこだったが、二人はそうではないという「経験の差」に驚く。 そこには、少しの優越感もあったが、しかし、そんな優越感に浸ってばかりもいられなかった。 その間にも、周囲ではゴブリンが戦友を殺戮しているのだ。「早く乗り込むぞッ!」 軍毅が僕と詩華を率いて車に走る。 軍毅と、そして僕と詩華は車に乗り込もうと一直線に走るが───。「どけッー!!」「なにッ!?」 軍毅が突き飛ばされる。 そして軍毅より一瞬早く、僕たちとは別の───僕たちと同じく、今回の《天使》の「《審判》」で異世界に送り込まれた「《十六世代》」の数名が車に乗り込んだ。「何をするんだ、お前らッ!」 不意を突かれ、突き
僕は尚も銃のトリガーを引く。 しかし、何度、トリガーを引いても弾は発射されなかった。「あ、あれ……? どうして?」 僕は戸惑う。 そうして僕がもたついている間に、その隙を好機と捉えたゴブリンが再び襲い掛かってきた。「何をやっているんだッ! 安全装置を解除しろッ! 訓練で散々習っただろうッ!」 僕は声の主に突き飛ばされる。そして地面に倒れ込むが、そのおかげでゴブリンの凶悪なこん棒の一撃を喰らわずに済んだ。 僕を突き飛ばしたのは軍毅だった。 軍毅は、自分が持つ銃でゴブリンを撃つ。 しかし、縦横無尽に飛び跳ねる身軽なゴブリンに命中させることはできなかった。「くそッ!」 ゴブリンが軍毅に飛びかかる。 軍毅は自分に噛みつこうとするゴブリンをマグライトを盾にして防いだが、両手がふさがり、反撃ができない状態になってしまった。「撃てッ! 早くコイツを撃つんだッ!」 軍毅の悲鳴のような命令に衝き動かされ、僕は銃の安全装置を外すとゴブリンに向けて弾を発射した。 幸い、弾はゴブリンに命中した。 しかし───。 ゴブリンは短く「ギャッ!」と叫び声をあげて軍毅から離れたが、銃で撃たれた肩に傷は負っていなかった。 銃の弾は、まるでぶ厚いゴムタイヤにでも当たったかのように弾かれてしまったのだ。「そ、そんな……! 銃が効かないなんて……!」 それは信じられない光景だった。 僕は前回の異世界でも銃を獲得していた。 銃を手にすると、とても頼もしかった。 そして銃があればゴブリンくらい、簡単に倒せると思っていた。 すぐにでもゴブリンを見つけ、ゴブリンに向かって銃の威力を確かめたいと思っていたが、折悪しく、僕が銃を手にしてから、なかなかゴブリンと戦闘する機会がなく、銃の威力を確かめられずにいたが、あの時、僕がゴブリンと戦闘しなかったことは、幸運だったのかもしれない。 僕は思い違いをしていた。 銃はゴブリンに通用しない。 ゴブリンの皮膚はぶ厚いゴムタイヤのように頑丈で、銃の弾で貫通することはできないようだった。 ゴブリンは今度は僕に襲い掛かってきた。 銃は効かなかったが、弾丸で撃たれたこと自体は痛かったらしく、ゴ
悲鳴が聞こえる。 僕は飛び起きた。 ここは草原。 辺りは真っ暗だ。「ここが異世界……? 天国じゃなくて?」 状況がわからず僕は狼狽える。 その間にも周囲からは次々と悲鳴が沸き上がった。 詳しい状況はわからないが、僕と同じく、「《穴》」に全身を蝕まれ、消失したと思われた戦友が、周囲にたくさんいるようだった。 そしてあちこちからあがる悲鳴。 どうやら戦友たちは何かに襲われ、何が起っているのかわからないが、相当数の「犠牲者」が出ているようだ。「《天使》の「《審判》」が、始まっている。ここは異世界なんだ。でも前回は一日の「初心者保護期間」があったはず。今回はその猶予がないのか?」 僕は前回と違う様子に困惑する。 しかし、僕はすぐに今回、どうして前回と様子が違うのかの答えに思い当たった。「《天使》を怒らせたからだ。《天使》専任のリポーターが、実は《戦争》の《派閥》で、正体を隠して《天使》に核ミサイルを撃ち込もうとしたから、その罰で僕たちは「初心者保護期間」なしで異世界に転移させられたんだ……」 僕は状況がわかったが、呆然としてしまう。 前回、僕は異世界でスライムやゴブリンと戦った。 ゲームでは、簡単に倒せる雑魚モンスターとして登場するスライムやゴブリンだったが、実際はとても強く、異世界に転移してすぐの自分たちでは太刀打ちできない相手だった。 暗くて見えないが、恐らく、僕たちは今、そのモンスターたちに襲われている。 次々と沸き上がる悲鳴。 その悲鳴の一つ一つが戦友の断末魔なのだ。「ライトだッ! ライトを点けろッ!」 誰かが叫ぶ。 その声は悲鳴のようだったが、やがてすぐに本当の悲鳴に変わった。 それは断末魔でもあり、彼も「犠牲」になったようだ。 僕は彼の死を無駄にしない為にも、大急ぎで自分の身体を確かめる。 すると───。「あ……! 僕が改造したマグライト照明付きハンドガンだ!」 僕は自分のポケットに、頼もしい「相棒」があることに気付く。 僕はすぐにマグライトのスイッチを入れた。 暗闇を切り裂くように、マグライトの力強い光
「《穴》」に全身を蝕まれた僕は暗闇の中にいるようだった。 どうしてこんな所にいるのかはわからない。 でも、不意に目の前に最愛の妹・虹心が現れる。『虹心ッ!』 僕は喜び、そして叫ぶ。 会いたくて会いたくて仕方がなかった妹がまた目の前にいるんだ。 こんな状況になれば、誰だって叫ぶよね。 僕は駆け出し、妹に手を伸ばす。 しかし───。『お、お兄ちゃんッ……!』『虹心ッ!』 僕の目の前で妹が「《穴》」に蝕まれる。『助けてッ! お兄ちゃんッ! 私が消えちゃうッ!』 妹は目に涙を浮かべ、助けを求めて僕に手を伸ばす。『そうはさせないッ! 僕の手を掴むんだ、虹心ッ!』 その手を掴もうと、僕も手を伸ばす。 しかし、僕の伸ばした手が妹を掴む間もなく、虹心は「《穴》」に掻き消されてしまった。 僕は失った妹を探して、必死に暗闇をまさぐる。 しかし、その手は虚しく空を掴むばかりだった。『どうして虹心がッ! 僕の妹がこんな目にッ!』 怒りと喪失感で半狂乱となった僕は、腕を振り回して暗闇を掻きむしる。『うわッ! な、なんだこれはッ!?』 僕は自分の異変に気づく。 それは僕の身体にも「《穴》」が現れ、広がっていくという異変だった。『うわーッ!』 さらに僕は自分の足元にあった床がなくなり、崩落するように落下する浮遊感を覚える。「傑くん! しっかりして! 傑くん!」 誰かが僕を呼んでいる。 同時に僕は大きく身体を揺すられる。 尚も暗闇を落下し続ける僕は、不意に全身を草地の地面に受け止められる。 ドスンという衝撃が全身に響いた。 驚いた僕は目を見開いて叫んだ。「うわーッ!」「大丈夫よ、
「終わりましたか?」 一方の《天使》が、もう一方の《天使》に尋ねる。「完了した。十六歳の若者全員と、この場にいることがふさわしくない者を消し去った」「消し去った……。彼らはこの世から消えてなくなってしまったのでしょうか?」「この世から消えてなくなったという点では正しい。だが、死んだわけではない。転移の方法は違うが、彼らは異世界に旅立った。それだけだ」「そうですか。異世界に旅立ちましたか。しかし、この「《穴》」による転移方法だと、彼らにルールを科せる事ができません。具体的には、異世界に転移して、最初の一日だけはモンスターに襲われないように「初心者保護期間」を儲けていましたが、その恩恵を彼らは受けることができなくなってしまいました」「それであれば、彼らが異世界で生き残り、最初のゴールですら辿り着くことは難しいかもしれないな」「ええ。恐らくそうなるでしょう。たった一人でさえ生き残れるかどうか」「そうだな。それ程までに異世界は、この世界の者にとっては生き残ることが過酷な環境だ」 二柱の《天使》は、異世界に転移した者たちが生き残れないことを残念に思い、溜息をついたように思えた。 しかし、それはあくまで思えただけで、実際には、《天使》は微動だにせず、ただその場に神々しく在り続けるだけだったが。「しかし、希望はありそうですね」「そうだな。希望はありそうだ」「この世界には数多の多次元宇宙───つまり並行世界があります」「そう。人々が日々の行動で一つの選択をする度に、選んだ選択の世界と、選ばなかった選択の世界が誕生し、二つの世界は別々の道を歩み始める」「我々のようにあらゆる選択肢と、あらゆる未来を「共有」して今を生きられない人類にとって、人生とはたった一度の冒険で、やり直したり、別の世界の自分と入れ替わることはできない」「ですが「修復者」は違う。修復者は、選択によって分裂し、別々の未来を歩み始めた二つの世界」を、また一つの世界に「修復」することができる」「選択を迫られた際、選択を選んだ世界と、選ばなかった世界を同時に生きることができる者……」「しかも、選択は一つ二つではない。一人の人間が、日々、何百、何千と選択している」「その選択の数だけ世界が誕生し、分裂して別々







